
市川中車(香川照之)さんの歌舞伎を見たくて、十二月大歌舞伎の第二部と第三部を観てきました。
第二部の感想に関しては下記の記事に書きましたので、今回は第三部について。
第二部の終演から第三部の開演までは40分しかないのですが、一度外に出て入り直すのかなぁと思っていたら、第三部のチケットを持っている人はそのまま館内にいることができました。
チケットは、近くの係員に見せてもぎってもらいましたが、結構ゆるい感じなんですね。
三部のチケットを持たずにそのまま中にいることもできるのでは?と思いましたが、そこはお客さんが信頼されているのかなぁと。
もしくは、新幹線の指定席みたいに、チケットが売れている席と売れていない席をしっかり把握されているとか?
それはさておき、三部が始まるまでは二階のロビーで待機していました。
座れる席があり、そこでお弁当を食べている方も多かったです。
私もお腹が減ってきたので少しつまみました。
第三部の席は…1階の1列目です!
平日だったからか、歌舞伎では一列目が最良の席ではないのか?(7〜9列目が良いと言われていますよね)、運良くゲットできました。
舞台向かって右側の端の方でしたが、目の前に舞台しかない!というのはやっぱり嬉しくなりますね。
第三部の演目は、「瞼の母」と「楊貴妃」。
どちらも坂東玉三郎さんと、市川中車さんが出演されています。
瞼の母
瞼の母は、主人公の忠太郎が幼いころに生き別れた母を探すという内容です。
忠太郎を中車さん、母親を玉三郎さんが演じられています。
1列目なので、役者さんの細かい所作や表情を見ることができて、その役の心情をしっかりと感じることができました。
忠太郎は、母「おはま」と再会し、おはまは忠太郎が自分の息子だと確信します。
しかし、おはまは自分の今の家族への影響を案じて、やくざな身になった忠太郎のことを「おまえは息子じゃない」と否定します。
このときの忠太郎の悲しみや、おはまの辛さが伝わってきて、少し泣いてしまいました。
忠太郎が「ひでぇなぁ…」(ちょっと台詞違うかもです)と何度も言うシーンが特にグッときました。
そして、玉三郎さんの演技も凄かったです。
特に印象に残ったのが、忠太郎が「私は本当にあなたの息子じゃないんですね?」と聞いて、おはまが「そうだよ」と言いながら手ぬぐいをきゅっと握りしめるところ。
あと、忠太郎という名前が出た瞬間に、持っていたきせるをぽろりと落とすところ。
これだけじゃないんですが、細かい所作が本当に自然で。
私は「神は細部に宿る」という言葉が好きなんですが、まさにこういうことなんだろうなぁと思いました。
あと、忠太郎の妹であるお登世(梅枝さん)、序盤に出てくる半次郎のお母さん(萬次郎さん)と妹(児太郎さん)など、女形の役者さんがすごく魅力的に感じました。
それぞれ、自分の息子や兄を案じて、思いやるところが美しいなぁと思いました。
萬次郎さんの声がすごく響いていて聞き取りやすくて、びっくりしました。
ちょっと気になったのが、おはまが忠太郎に「お母さんと呼ぶんじゃないよ!」と言うシーンで、客席から少し笑いがおこったところ。
この台詞は、忠太郎にとってはすごく辛くて切ない言葉で、忠太郎の心情を考えると、ここには笑わせる意図はないんじゃないかなぁと思ったんです。
もちろん、お客さんによっていろんな解釈があるとは思うのですが。
これを笑ってしまうのは、忠太郎が少しかわいそうだなぁと思ったのでした。
瞼の母、最後は切なくしんみりとした気持ちになります。
でも、このめでたしめでたしで終わらない感じが、リアルでもあるなぁと思いました。
楊貴妃
そして、「楊貴妃」です。
こちらも玉三郎さんと中車さん。
ひたすら、玉三郎さん演じる楊貴妃が美しかった…!それしか言えません(語彙力…)。
こ、こんなに美しいの…?と思いました。
舞台右手側なので琴などの楽器や歌い手さんが目の前だったのですが、琴の音色ってこんなにきれいなんだな〜と思いました。
特に低音の音が好きです。
歌舞伎といえば、役者も演奏者もみんな男!なイメージだったのですが、琴の弾き手には女性も何人かいたのがプチ発見でした。
ということで、良質なインプットをしまくりで心がとってもうるおいました。
役者さんも、演奏者さんも、舞台美術も、ほんとすべてが素晴らしいです。
そういえば、幕間にロビーの方へ出たところ、浜木綿子さん(香川さんのお母様)をお見かけしました。
小柄な方ですが、眼力とオーラがすごかったです!
来月は、高麗屋の三代襲名ですね。
勧進帳が大好きなので、観に行きたいなぁと思っています。
→高麗屋の三代襲名見てきました!ちょこっとですがこちらに感想を書いてあります。
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